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2008-05-25

嫌がらせを認識しないはてな(追記あり)

嫌がらせ関連で記事を書くのは初めてかもしれません。

先日のはてなブックマークに関する利用規約の改定を受け、「先方次第でブクマ禁止やコメント禁止がまかりとおるのではないか」という懸念する向きもあるようです。が、今までのはてなの運営からすればありえないでしょう。はてなは基本的に、クレーマーが「嫌だ」というだけでは嫌がらせとは認めていません。

むしろ私としてはこの機会に「はてなは嫌がらせ問題にもっと積極的に介入してほしい」とお願いしたいです。具体的に言えば、「もっと独自の判断基準を設けて処断できるようにしては?」という提案です。ガイドラインと示してくれと言う意見は他にも出ていますね。

はてなのサービスを使っていると「悪意・敵意を持ったユーザー」の影響が出やすい面に気づきます。そして運営の対処は現行法にのっとった最低限のものと感じます。ですからしばしば嫌がらせを受けたユーザーがはてなの対応に不満を発していますけども、そのメッセージが運営を動かすことはまずありません。

この問題はさんざん提起されてきただけに議論の進展も乏しいのでしょうか。もしかするとはてな社の中で、技術班は機能改善でなんとかしようとし、ユーザー対応班はひたすら業務をまっとうしようとするなど、「クレーム処理方法の見直し」に目が向かない理由が何かあるのかもしれません。

でも、はてなの一般化を考える*1上でも、ユーザー間の嫌がらせ問題はやはりネックだと思います。先月ココロ社さんが書かれて話題になった株式会社はてな最強化計画という記事も、最後に「“不良ユーザー”を仕様変更による解決ではなく個別に対処すべき」とネタをまじえず主張されています。私も運営面の変更を考えてほしいです。

以下長くなっちゃったんですけども、問題点を整理しつつ、新提案をしてみました。


嫌がらせを認識してもらえない

はてなの運営にフレンドリーで親切なイメージを持っている方は、あるとき他ユーザーからの嫌がらせなどを受けて「お問い合わせ」に相談してみると、その対応にショックを受けるかもしれません。

はてなは利用規約第6条(禁止事項)迷惑行為、嫌がらせ行為、誹謗中傷行為、正当な権利なく他者に精神的被害・経済的被害を与える行為等を禁止しているのですが、いっぽう第9条(免責事項)5で当社は、ユーザーが自発的に開示した情報により、他のユーザーまたは第三者との間における紛争、誹謗中傷、いやがらせ、詐欺、ストーカー行為等の被害を受けた場合、同被害に基づく損害について、故意または重大な過失があるときを除き、一切責任を負いません。他のユーザーや第三者との間における情報交換は、ユーザー各自の責任において最大限の注意を払って行ってください。としています。

これは被害を受けたユーザーの立場から見ると、「明らかな故意」や「重大な過失」が認められない場合、はてなが対処をしてくれることは無いということです。ナントカハラスメント問題のように、嫌がらせは被害者の感情が問題の本質になりますが、ここでは「加害者の意図」と「過失の有無」が問題視され、結果として多くのケースで「嫌がらせ」が認められないのです。

もし嫌がらせの加害者がはてなの規約等を熟知していれば、滅多なことで書き込みの削除など行われません。事実に反する文章にならないように疑問形の文章にしたり、誹謗中傷にならないように「発想や文章がまともな人間のものとは思えない」という形式の人格攻撃をしたり、書き方はいくらでもあります。しかも削除要請はひとつひとつの文章についてなされるので、連続した嫌がらせ行為というものは問題視されないようです。

被害者は「はてなによって正当化された」嫌がらせユーザーに思い知ったかと嘲笑され、嫌がらせが継続します。

とはいえ、こういう規約は他サービスでもだいたい同じでしょう。livedoorでは見当たりませんでしたが、FC2ブログやアメブロにはありました。この規約によってユーザーがサービスに書き込んだ情報が保護され、内外からの削除要請等を可能な限りつっぱねてくれる、という利点もあります。

ただ、他社サービスでははてなほど厄介な嫌がらせに発展しないのかもしれません。そこを考えてみます。


はてな独特の嫌がらせ

受けたことのある方は少数派だと思いますが、はてなユーザー同士で嫌がらせをする方法はいろいろあります。

相手がブログ持ちの場合、「コメント」や「トラックバック」はもちろんのこと、効果的なのは「粘着ブクマ」ですね。(よく話題になるネガコメや炎上問題とは分けて考えます。それとは別に)何ヶ月ものあいだ更新ごとにブログ作者が嫌がるようなブクマコメントをつけていく、分かりやすい嫌がらせがあります。はてなのブログサービスははてブとの連携が強く、読者も元記事とブクマエントリーページ両方を読むことが多いです。毎回大量のブクマがつくわけではない、平均的な人気のブログでこれをやられると、なかなかしんどいようです。

「はてなスター引用機能」による嫌がらせコメントもあります。ブログ本文から文字を抜き出して悪口の文章を作り、はてなメッセージでつながって表示させるという芸のようなものもありますが、そんなことをしなくても、実はブクマエントリーページで自分のブクマコメントを利用すれば自由なスター引用コメントをつけられます。はてなスターを設置していない日記にも、つけられるわけです。(7/25追記:今日試したらこの技は使えなくなってました。)

「はてなメッセージの通知メール」はいろいろな嫌がらせメッセージを送るのに便利です。たとえ相手からコメントやトラックバック拒否ユーザーに指定されていても、「はてな匿名ダイアリー」からリンクしたり、はてなハイクでその人の「IDページ」に書き込めばIDコールできます。IDコールは規約違反の複数アカウントを取ればいくらでも新規ブログから送れるわけですが、匿名ダイアリーやはてなハイクのほうがギャラリーが多いので、嫌がらせ効果はさらに大でしょう。「はてなダイアリーキーワード」をよく書いている相手なら、その人の編集したキーワードをしつこく書き変えると効果的です。相手は嫌がらせを受け続けるか、はてなメッセージの通知をあきらめるかしない形になり、確実に嫌な思いをします。

また、はてなは新サービス・新機能のリリース時、基本的に嫌がらせ対策はしないので、次々と嫌がらせ手段が増えていきます。


「ネット中級者以上」が陥る罠

と、他社サービスよりも様々な嫌がらせ方法があるわけで、そこに「ネット中級者以上」の人が陥りやすい罠があるのではないでしょうか。

サイト運営に慣れた人なら、嫌がらせにもある程度の対処ができます。ブログなら普通、最悪の場合でも「コメント・トラバ欄凍結」と「メアド非公開(もともと捨てメアドを使用)」でだいたいカタがつくんじゃないでしょうか。嫌がらせの文章なんて、たいがいの人には面白くないので、他所で書き立てられてもだいたい無視できます。

ところがはてなのサービスではそれではすまないのです。不快なメッセージを避けるためにはてなを利用するメリットだった様々な機能をあきらめたり、最悪の場合は長年拠点にしていたはてなアカウントを放棄し、別の場所で再起しなければならなくなるでしょう。

サイト運営に慣れたユーザーがはてなダイアリーで注目を集めたり、物議をかもしたり、自サーバー運営のように気ままに書いていると、あるとき粘着質な嫌がらせを受け始め、退会していくというパターンがあるように思います。はてなの嫌がらせに対する脇の甘さを考えると、物議を醸すような社会的・政治的に重要なメッセージを書き続けることには向いていないサービスだと思います。これだけが理由ではないでしょうが、はてなダイアリーに「有名人ブログ」が少ないことや、はてな村論壇が社会的に注目されるところまで発展しない原因のひとつかもしれません。

もちろん、そんなに目立つブログでなくても「相手が悪かった」場合、しつこい嫌がらせを受ける事態は誰にでも起こりえます。はてなダイアリー - 快適、安心、シンプルなはてなのブログというフレーズの「安心」というのは、コメントで特定のIPアドレスをはじけたり、スパム対策に力を入れていることあたりをアピールしてるんじゃないかと思いますが、実際には「初心者にも安心」どころか、「上級者でも危険」な落とし穴がぽっかり空いているわけです。


変えられない基本方針

はてなの戦略であり、ユーザーにもメリットをもたらす基本方針が、嫌がらせの背景になっている面があると思います。

ユーザー発信情報をはてなの財産と考える
(影響)相手が不快になったぐらいでは、発言を削除されない。
はてブ・スター・IDコール等、はてな内機能の相互連携
(影響)様々な手段を使ってからむことができる。
50%開発ルール
(影響)嫌がらせ防止策は基本的に開発初期には考慮されず、常に後手。ある機能の嫌がらせ対策がなされるころには、他の嫌がらせ手段ができているのが常。
ユーザー登録に際し住所確認などは行わない
(影響)多重アカウント登録は取り締まり不可能。

こういった方針に異を唱える意見も時おり見受けますが、これらはたとえ嫌がらせの背景になっているからといっても、なかなか変えられるものではないでしょう。

はてなの技術部にも頑張っていただきたいですが、「落とし穴」をふさぎきることは体質的に難しいと思います。


大げさな枠組みしかない

そこで「嫌がらせ」を認識してスタッフが対応する仕組みを提案したいわけです。

「嫌がらせの存在を認めていくと、クレーム対応業務がふくらんで、はてなの負担が増大するのでは」という見方があると思いますが、本当にそうなるでしょうか。

現在はてなに嫌がらせを訴えるとしばしば「削除要請しますか?」「(告訴に必要な)氏名開示を要求しますか?」といった流れになるようです。被害者は困って&怒っているので、「おう、やったろうじゃないか!」ということになりがちです。結果、嫌がらせ相手との関係が非常に緊迫化します。その後、相手が削除要請・氏名開示を拒否し、プロバイダに氏名開示を要求できるほどの被害ではないと判断されると「後は当事者で話し合ってください」とさじを投げられます。

この一連の流れだけでもクレーム対応業務がふくらんでいますが、しばしば解決策を得られなかった被害者がはてなの対処に納得できずクレームを続けたり、加害者に嫌がらせで対抗しはじめてしまい、双方からクレームが来るようになったりしているはずです。しかも事態は告訴レベルに緊迫化していますから、憎しみ増幅装置となってしまった対応スタッフにかかる重圧も大きくなっていて、ちょっとした不備(教えなくてもいい本名とIDの関連づけを相手に教えちゃうとか)がユーザーに大きな不利益をもたらす事態になったり、一層倍の苦情の原因になります。

つまり、大げさな枠組みで処理しようとしていたずらに問題をややこしくしていると思うのです。お腹が痛くて医者に行ったら、受付けで「では手術を希望しますか?」と言われて、痛いからしょうがなく手術を申請すると、しばらくして「手術をするほどではないと診断されました」と言われちゃう。まだお腹痛いんですけど!さっきより悪くなってるんですけど!みたいな。

被害者は、はてなをやめたくなるくらい困っている。でも法律とか社会的基準に照らしてみると、それは何年使ったアカウントだろうと被害とされるほどのものではない(実生活の被害に比べて非常に認められにくい&法律が追いつかない)。だからはてなの運営レベルでの解決をお願いするわけです。この要求は当然だと思います。近藤さんは議論が好きで、当事者間の議論によって解決する方法を好まれるでしょうけども、それを理由にこのレベルの嫌がらせの訴えを全部無視されるのは嬉しくありません。


はてなにも機敏で自主的な判断はできる

はてなもスパムへの対応は速いです。またスパムではありませんが、はてなハイクリリース初期のゴキブリ画像連続投稿に対して、

執拗に同内容のゴキブリ画像が掲載されており、他人に迷惑な行為であると判断しましたので誠に勝手ながら、エントリーの投稿時刻を過去の時刻に変更させていただきました。

また、はてなハイクでは今後、同様の迷惑行為に対して、ユーザーの通報で同様の措置が自動的に行われれるような仕組みの実装を検討しています。

不快な画像の連続投稿について - はてなハイク日記

と対処しています。ゴキブリ画像の連続投稿ぐらいで迷惑行為であると判断してくれるなら、うちに来てる嫌がらせをなんとかしてくれ!と思われる方もいらっしゃるでしょう。

スパムの問題性は「有益な情報に対するアクセスへのタダ乗り」にあります。有益な情報を求めてアクセスして来た多くの人が、無益な情報を見せられてしまい、影響が大きくなります。

「ニコニコ動画」はブログサービスなどとは違い、コメント削除依頼板を通じてコメントの削除が柔軟に行われます*2。投稿者の匿名性などもあるでしょうが、なにしろ動画コメントは「有益な情報に対するアクセスへのタダ乗り」が非常に簡単なので、そのような対処がどうしても必要でしょう。

しかし規模は小さくても、ブクマや匿名ダイアリーを利用した嫌がらせにも「有益な情報に対するアクセスへのタダ乗り」があります。はてなのサービスで悪意・敵意を持ったユーザーの影響が出やすい理由のひとつです。ニコ動ほど簡便でなくても、ひどいものははてな独自の判断で削除や非公開化ができるようにしたほうが良いと思います。


判断基準の例

嫌がらせの認定基準は、たとえば「他ユーザーが不快感や被害を訴えている*3」書き込みのうち、以下の要件を複数満たすものなどでどうでしょう。

  • 連続し執拗である
  • 人格攻撃を目的としている、またはそのように見受けられる
  • 第三者的に有益性の高い情報と判断できない
  • あるユーザーを攻撃することが主目的とみられるアカウントによる書き込みである

これならサイト上の情報だけで勝手に判断できます。これらを全部満たすような嫌がらせを見て来て、「これを嫌がらせと認定できないのは何かがおかしいな」と思ったことが今回の記事を書いた背景にあります。

もちろん多重アカウント取得などによって嫌がらせの抜け道はあります。しかし、嫌がらせ専用アカウントによる書き込みを存続させるには普通のユーザーのように利用しなければならないなど、嫌がらせにかかるコストは確実に上がるでしょう。そして嫌がらせ行為に非があると認定されれば被害者の気持ちは明るくなるはずです。また単なる嫌がらせをしてしまっていたユーザーが「有益性の高い情報」としてきちんと批判するなら議論の余地が生まれます。人格・アカウント攻撃をやめて他の有益な情報を書くようにうながすのは、ユーザーにとっても運営にとっても利益になるはずです。


結び

「はてなは独自の判断基準を設けて嫌がらせを柔軟に処断できるようにしては?」という提案でした。登録アイデアはてなアイデア

「ネットを進化させ、人間の生活を豊かに」と語るはてなが、嫌がらせの相談を受けて「嫌がらせも良し、仕方なし」と考えているとは思いません。現状程度の対処になってしまうのは、なにか工夫が足りないのではないかと思います。使い続けたはてなアカウントがいつか何かの嫌がらせで放置せざるを得なくなるリスクを考えると気分が重くなりますし、改善を願っています。


最後に全国のダてなちゃんファンの方、なんとなく悪役に使ってすみません。


追記(2010/10/22)

2年後、上の登録アイデアidea:20020)ははてなから以前より、弊社基準により嫌がらせ行為であると判断した場合には、迅速に対応を行っております。などの返答があり「他の方法・検討中」となりました。

もう私としては疎くなっている問題でしたがやはり判断基準は問題だと思いましてはてなアイデア - 嫌がらせ行為の判断基準で、「執拗さ」を今より重く見てほしいを登録しました。これもはてなでは、現在も、あるユーザーによる行為が嫌がらせとなるかどうかを判断する際、その行為の頻度(執拗さ)は重視しております。 との返答をもらい、2ヶ月後に「他の方法・検討中」となりました。この頃、うごメモの影響か、はてなランドリリースを睨んでの事かよく分かりませんが、この問題に対するはてなの取り組みが強まったようです。

その1ヶ月あまり後、はてな情報削除ガイドラインの改定がありまして、はてな内のもめ事で「文責の明確さ」という概念が導入される事になりました。つまりずっとまともな活動をしている人の発言を重く見ようという事で、テレコムサービス協会の新ガイドラインに則ったものです。文責の明確でない投稿情報は「匿名者発信情報」とされ、即時削除・利用停止・アカウント削除される事があります。

まだ事例を目にしてませんので、以前よりどの程度改善されているのかは分かりませんが、該当するような嫌がらせにお困りの方はスタッフに問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

*1はてなの一般化を妨げる「ジャンルカテゴリー嫌い」はてなのヘルプを見る限り「ユーザを拡大したい」とか言ってるのは何かのギャグ問題に続く、はてなの一般化を考えるシリーズの記事です

*2ニコニコ動画‐利用規約利用者は、運営会社による書き込みの削除、利用者が登録したアカウント情報の削除を含めた全ての対応について、運営会社に対して異議を唱えないことに同意します。とあります。また第三者の権利を侵害している行為に対するクレームに対応するために必要と運営会社が判断した場合、その他「ニコニコ動画」の運営上必要であると運営会社が判断した場合、運営会社は「ニコニコ動画」上におけるテキストの書き込み及び利用者がニコニコ動画の利用に際して行った全ての行為に関して、当該行為の記録並びに当該行為を行った利用者に関する全ての情報(当該利用者の個人情報、アカウント登録に関連する全ての情報、その他利用者による「ニコニコ動画」の利用に関する全ての情報、運営会社が確認したIPアドレス及びタイムスタンプ等ネットワーク上の全ての情報を含みます)を保存・開示・提供することができるものとし、利用者はこれに同意します。とありますが、クレーム処理における個人情報の開示についてもハードルが低いのでしょうか。

*3:ユーザー以外からのクレームを同様に扱うかは影響を見てからでも。

むすびに……むすびに……2008/05/26 00:22まとめ「おま訳にリファが無いのはきっと何かの嫌がらせ」らへん。(なのか? ^^)

sugiosugio2008/05/28 01:44トラックバック文化の衰退が起きているに違いないのです

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