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そんなわけでパラレルづいている私でして、ページを複製して増やすWikiサービスの構想です。いつものごとく実装ははてなに要望。iPhone発表のニュースを聞きながら、今さら感をじっとり感じつつまとめたアイデアですが……。
「はてなWiki」というアイデアは今までにも各所で語られておりまして、
特にidea:2669ではすぐにも作られそうな勢いでしたが、他のWikiツールとあんまり違わないからか、「はてなグループキーワードでだいたい足りてるしねえ…」という事なのか、どうも優先度が低いタスクのようで延々放置されております。
そこで今回提案いたしますのは、記事エントリーの複製を前提とした、たぶん新しいWikiサービスです。
まずはてなですから、ホスティングサービスです。ユーザー作成Wiki(個人・グループ・公開モードあり)と、ユーザー共有Wikiと、ASINページのような自動生成共有Wikiに分かれます。
共有のほうでははてなダイアリーキーワード同様、コンテンツの財産権がはてなに帰属します。これによってはてなセリフのようにコンテンツの「複製」*1に関する著作権問題をクリアします。
まず普通のWikiのトップページをご想像ください。普通に記事ページを作成します。
ユーザーはそのページの記事(エントリー)を編集する際、上書き保存することもできますが、はてなダイアリーキーワードの「別の○○を作る」のように、同名の別エントリーとして保存することもできます。これを仮に「派生保存」と呼ぶことにします。
同名エントリーの「新規作成」はできませんし、別名エントリーを同じページに表示させることもできません。これはちょうど掲示板でスレッドを立てるとき、最初の発言は新規作成ですけれど、あとに続く発言は「返信」しなければならない関係と同じです。

同名のエントリー同士では最近更新されたものが上に表示され、更新の古いエントリーはどんどん下にいきます。しまいにはページャで別ページに移動しないと見られなくなります。同名のエントリーが同時に存在し、分岐しながら発展可能なことからパラレルWikiと呼んでみました。
ここで「派生保存する意味が分からない」というご感想もあるかと思いますが、それはこのWikiが「まとめ」用途を追求したツールではないからです。はてなセリフと同じような、言うなれば「コンテンツを派生させていく」サービスでもあるのです。
元ネタに対してパロディが産まれたり、あるものについて違う視点からの解説がなされていき、それらを関連づけて眺めることができるのは楽しいことです。パラレルWikiは、階層構造で合目的なコンテンツをまとめるだけではなく、ツリー状にコンテンツを派生させていくためのツールなのです。「情報をその場で生み出していく」作業に向いています。
「どのくらいタイトルから脱線していいのか?」「だれも追記しないようなエントリーを作っていいのか?」というようなことは、そのWikiの使い方や管理者の判断で変わってくるでしょう。例えば百科事典のようなWikiなら、タイトルの説明になっていないようなエントリーは困り者でしょう。しかし「お題に答えるWiki」で、「ピエール瀧が台所に残しそうな置き手紙」という記事タイトルであれば、かなり自由度の高い派生エントリーが考えられます。前のエントリーにレスをする形で掲示板のように使うWikiも考えられます。掲示板より自由度が高いので、ブレイン・ストーミングのような活動にも向いているかもしれません。*2
そして管理人が派生保存機能をオフ、新規作成機能をオンに設定すれば、普通のWikiにもなると思います。
新規エントリー(A1)から最初に派生させたエントリーは「A2」と番号が振られます*3。A1またはA2から次に派生させたエントリーがA3です。
Wikiのサイドバーには編集の流れのナビゲーションが*4表示されます。これは編集の系統図と、それに関わっているユーザー数と編集回数を表しています。パラレルWikiが初期設定で新規作成不可なのは、この編集の系統を確実に記録するためです。
例えば閲覧者がA2のエントリーを見ているときは図のようなナビが表示されます。A2の更新回数は12回で編集ユーザーは3人。その上の「15回/3人」というのは、祖先エントリーを含めて、その系統のエントリーを編集した全人数と編集回数です。
これは各エントリーの有益性を計る目安になるでしょう。例えばWikipediaのようなパラレルWikiで、閲覧者はたいていトップに表示された最近更新のエントリーを読めば一番新しい有意義な情報を読めるはずですが、記述をめぐって意見が分かれているようなページでは、この編集の流れを見ることで有意義なエントリーを選ぶ手がかりになります。
「more...」をクリックするとそのタイトル下での編集の流れがすべて分かるエントリーの系統ページが表示されます。はてなはそんなに手の込んだ機能を作らない気がしてならないですが、次の「分派」の仕組みのためには必要です。見た目は、ツリー掲示板のようなもので良いでしょう。
そう、このパラレルWikiの情報のつなぎ方は、ツリー掲示板と同じです。「レスをみんなで編集できるツリー掲示板」とほぼ同じ構造になります。ただし使われ方は違ってくるでしょう。これは個人のブログと、個人のはてブはコンテンツの構造がほとんど同じ(登録する情報ごとにタイトルとURIを持ち、時系列に表示)なのに、見せ方や外部とのつながり方の違いでまったく別のツールになるのと似ていると思います。*5
さてこのWikiページが平穏に発展していった場合、エントリーはA1のまま更新回数を重ねるか、内容の異なるA2、A3のエントリーが派生し、それぞれに更新回数を伸ばしていくでしょう。
A1とA2がそれぞれ一定の回数(例えば10回ずつ)更新されると、後発のエントリーA2は「B1」に変化します(エントリーのURLはそのまま)。これは「もう別々に発展しているので独立してくれ」ということです。*6
一方、ユーザー同士が記述内容を争っているときなどにも、袂を分つ形で分岐することができます。ただし簡単にB1やC1を作れてしまうとやたらに系統が増えて分かりにくくなり、更新リソースの希薄化にもつながってしまいます。普通はまずA2、A3へと派生し、更新回数を経てから自動的に分派されるべきでしょう。
そこでいきなり分派するときは「自分の文章を(一部でも)削除したことがあるユーザー、または自分が2回以上文章を(一部でも)削除したことがあるユーザー」と、袂を分つことができることにします(詳細*7)。袂を分かつと、お互い相手の系統のエントリーが編集できなくなります。
AからBになると、更新回数は継承し更新人数はリセットされます。A専用ページ、B専用ページとそれぞれの系統ページが生成され、サイドバーに系統を表示するモジュール(プラグイン)が表示されます。それぞれの系統を簡単に紹介する欄がついていて、参加者が特徴などを書き込んでおけます。
A系統から分かれたユーザーは別に悪いユーザーではありませんし、つまはじきにされたわけでもありません。A系統に、ちょっとしたことですぐ分派させてしまうユーザーがいるのかもしれませんし。Aを編集できなくなってしまった人たちは、更新リソースを分散させないためには、可能な限りB系統に集まる方が良いでしょう。それも叶わないようならC系統、D系統と分派していきます。系統が違っても、お互いの記述を転載して自分の編集しているエントリーに取り入れることは自由です。
正直、この分派ルールがどういう心理的影響を与えるのかよく分かりません。辞書的なWikiをやる場合には、実際は「A2」のエントリーを派生させる人さえマレだと思います。おそらく、分派に神経質になって他人の文章の削除をますます遠慮する人と、あまり気にせずドンドン削除や分派を行う人が出て、どちらも正当化できるので適当な所で落ち着くのではないでしょうか。
「分派」の仕組みは比較的複雑なので、そこまで作られない可能性が高いと思いますが、現実の団体のように、派閥ができていく過程を再現できればと考えました。宗派や学派など、創造的な活動においては様々な立場や仮説が平行して発達することが推進力になると思うからです。対立が目立って参入しにくくなると元も子もないのですが、「Wiki本来の情報をまとめる力」と「情報が派生していく力」を両立させることが目標です。
はてなアイデア - 記事を元記事から派生的に作成する機能のあるWikiサービス。
アイデア登録しました。人に伝わる気がしません、すいません。
最後までおつきあいくださった奇特な皆様、ありがとうございます。けっこう長い説明になってしまいました。
しかしこのアイデアは元々、“はてなブックマークを応用して簡単に「時系列まとめ」が作れたら便利では?”というアイデアの一部でして……それついてはまた今度となります。ではまた……。
*1:はてな外の著作物を複製してアップロードする違反行為は解決できませんが、その件ではなく
*2:最初のエントリーにはてなセリフのようなジェネレータ機能があったり、Willustrator作品を派生させていく機能があったりすれば、Photoshop tennisみたいに画像をいじる楽しみ方もできそうです。
*3:この記号は変わって行くのでエントリーのURLは別途固有の識別子を割り振るべきかもしれません
*5:運営方法や成果物の違いはもちろん、ツリー掲示板がWiki化することで、例えばエントリーや系統にタグをつけて、Wikiサービス全体のタグページに反映されるようにしたり、そのタグのRSSを配信して、ブログのプラグインなどで更新情報を知らせ、編集に参加してくれるユーザーをより流動的に獲得するといった発展が考えられます。
*6:元のA2から派生していたエントリーはすべてBに移動してしまうので、もしAのほうにあったほうが良かった内容であれば、同じ内容のエントリーをAのほうに作り直す必要があります。
*7:あなたの編集していたWikiで、誰かが付け足した文章が不適当だと思ったので一部削除して手直しするとします。その記述をしたユーザーはあなたの手直しを削除して、手直しします。その記述をさらにあなたが不適当だと思った時、手直しの編集とともに「分派」操作をすると、今の編集前のエントリー(相手のエントリー)と編集後のエントリー(あなたのエントリー)に分かれます。また、最初にあなたが文章を手直ししたとき、相手は自分の文章を削除した相手であるあなたと分派できます。正確には、新しく分派された側が、その新系統を本当に立てると承認したときに新しい系統ができます。古くから元のエントリーに関わっていたユーザーのエントリーの系統のほうが、アルファベットは若くなります。上書き保存・派生保存ともに、編集画面では変更の差分をチェックできます。さらに編集や履歴の画面では「誰がどの記述をしたのか」すべてのテキストがユーザー名でマークアップされたものを確認できます。