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2006-12-21

まだウェブ文明のことを考えていた

前回思いつかないと言っていたウェブ文明の内容についてです。文明より文化の方がいいな…。*とのご感想をいただきましたけどもあれかな、文明という概念が持つ暴力性の問題でしょうか。今回の文章では、ウェブ未来に生み出すであろう多くの文化を過去の人類史と比較しながら包括的に考えようとするとき、文化より文明のほうが適当かなと思って文明にしています。でも「ウェブ=文明、ウェブ以外=未開」という認識を生むのは不毛なので梅田本タイトルとしては不適当かもしれませんね。

前回のまとめなど

  1. 知的活動*1には「観測」「論理思考」「情報の共有」「情報の整理(活用しやすくする)」が有効だ
  2. 古代ギリシャ文明:「論理性を徹底」する人々の出現*2論理学・科学など知的活動の道具立ての発達→近代科学への飛躍の素地に
  3. ウェブ文明:「情報共有を徹底」する人々の出現→???など知的活動の道具立ての発達→未来???への飛躍の素地に

ウェブ文明は人類の知的活動を一変させるかもしれない、もしくは「科学」のような人類の知的活動の道具立てを成立させるかもしれない、という思いつきです。SFガジェットを考える遊びみたいなことがしたい次第。

今回の眼目ではないのですが、「人類の知的活動を一変」で思いつくのは、全人類的な知的活動と個人の日常の境目がなくなること。日常生活でユビキタスコンピューターが計測・発信する情報が圧倒的に増え、それがウェブ上に送られて世界中の知的活動のための「観測」データになるとか。学術的な議論が、学会大学のような実社会の枠組みから解放されるとか……。でもそういうのはネットワークの浸透がもたらす変化ですからね。

もっと面白そうなのは「情報共有を徹底する人々」が生み出すかもしれないもののほうです。信じられないほど理屈っぽい古代ギリシャ哲学者達のように、今の私たちから見るととんでもないコスト情報共有に費やす人々が、何を発展させるのか。

情報錬金

すでにあるものから考え始めると、オープンソース活動の成果物が挙げられるでしょう。Firefoxが一定のシェアを占めるウェブブラウザになったのは、「情報共有の成果」が「大企業競争力の成果」に匹敵した出来事だと言い換えられます。また、はてブのようなSBSメディアとしての存在感を増していけばやはり「情報共有の成果」が「経済競争力の成果」を脅かす現象は起こるでしょう。まあはてなは営利企業だったり、オープンソースソフトウェアを「情報共有の成果」と言い切ってしまうのには問題が多々あったりでしょうけども、情報共有の恩恵ウェブ上で享受している方はきっと増えていると思います。

今あるweb2.0的な情報共有の潮流の中でも、「ウェブ上で得られる情報や知力を収集・構成してWikipediaのような成果物を得るにはどうしたら良いか? 成功にはどんな条件が必要か?」というのは注目を集める関心事です。

理想的には、ウェブ上に散在している情報や知力が、あるテーマにそって自動的に有益な情報に再構成されるのが一番です。「〜〜なOS欲しい!」と唱えると、魔法のようにLinuxが完成する状態を究極としてみましょう。

現実ではオープンソース活動にしても、web2.0サービスにしても、その成功は運営側の努力・さじ加減・運によるところが大きく、とてもとても情報が自律的に有益な形を作るという夢には遠い状況のはずです。

最低限なにをすればいいのかと言った研究は、お金になるでしょうしこれからどんどん進んでいくでしょう。知的資源のスープからより旨味のあるスープを作る技術が蓄積され、中世錬金術近代化学の素地を作ったように大きな学問分野になることはありそうです。

ユビキタス情報共有

はてなグループはてな社のためのグループウェアでもあるように、「効率的なチームワークのための情報共有術」は営利企業の関心事だと思います。でも現在は企業外部との情報共有をする場は少ないし、企業としての競争力を守るために共有できない事もある。各企業内で情報共有術が進んでいくでしょう。これが徹底されるとどうなるか。

情報共有は究極的には、全員が同じ体験をしている、完全に脳へのインプットが同期した状態になると思います。それが技術的にできるとして、そこから共有しなくてもいい情報差し引いて個人に受け渡される状態が理想的な情報共有となるでしょうか。サーバー経由かP2Pかは分かりませんが、HTTPでないのは確実な段階です。

企業でこれができると、新米とベテランの表面的なパフォーマンスの差はほとんど無くなるかもしれません。情報共有している共同体は、どのメンバーが発するどんな問題に関心を持ち、知的資源を割くべきかを決定しながら、可能な限り効率的な連係プレーをしていきます。パフォーマンスではなく知的資源への貢献度が、個人の評価になるかもしれません。

そしてたぶん、この情報共有体のメンバーは、すごいスピードで習熟します。

情報共有術が企業内で極まると、当然それを日常生活に転用したらメチャクチャ便利だろうとなるでしょう。「知識がない」ことがモバイル機器の利用で解決されるシーンは今や日常ですが、「経験不足」「思考力が弱い」といったことも、人生においてたいした問題ではなくなるかもしれないのです。

有料の情報共有クラブができるかもしれません。国や自治体でどの程度の「チームプレー」が可能か分かりませんが、案外囚人のジレンマ理屈助け合い社会になるかもしれません。みんな恋から手練手管の口説き上手なんていうのはちょっと嫌な想像ですが。

関心喚起術

上の話で、自分が共同体に「知的資源を割いてくれ」と申請する場合、その要求がどの程度重要かをアピールする必要があるのではないかと思います。

他人の関心を喚起するほど、その問題に知的資源が投入されるとすれば、関心を喚起する力が問題の解決力になってきます。広告過剰な街並のように、「関心喚起過剰」な情報共有空間になるかもしれません。

広告物欲を刺激するように、関心喚起はさまざまな好奇心を刺激し、嗜好を増幅し、あれもこれもしたくて仕方が無いように私たちをしむけるかもしれません。

もはや好奇心が乏しくても、この世にあまり好きなものがなくても、ついつい活発に生きてしまう時代になるかもしれません。

徹底的に情報共有された全人類的知的活動

情報共有の流れの延長が全人類的知的活動ですね。経済だけでなく知的生活もグローバル化した社会です*3

宇宙文明タイプI時代なら、そのくらいあってもいいかも。ここまでくれば、次代の文明と呼ぶにふさわしい変容ですねえ。

*1:ここで「知的活動」というのは、学術的・経済的・または生活の中で有意義な成果が得られるような目的のある知的活動です。うまい言葉が見つからなかったので。

*2:「古代ギリシャ文明が論理性を徹底する人々の出現によるもの」というのは今回の考えに都合の良い自説です念のため。

*3:その中ではてなが果たす役割は別冊はてな話 - 数世紀後のはてな

motimoti3motimoti32006/12/21 09:16RSSはこんな感じかな・・・(違うかな・・・)と思って書きました。sugioさんが気に入ってくだされば、恥ずかし嬉しです。

sugiosugio2006/12/21 09:55あ、お返事ありがとうございます。甲斐甲斐しくフィードを集めつつも、関係が近しいだけに主人の嗜好を色濃く把握している様をメイド擬人化というのは良かったですねー。アンテナもメイドだったらご主人様取り合い展開か…などと妄想膨らみます。

facetfacet2006/12/27 00:47反応遅れてスミマセン。
文明と文化の話ですが、ウェブ文明というのが「宇宙文明」の「タイプI文明」規模以上にまで広がる話だということで、今は何も違和感はありません。個人的に、Webは新たな(タイプ0.7)文明になるよりも多様な文化の集合(ロングテール?)的なものになってほしいという希望があるので、ああいうブクマコメントになりました。
PS こういうSFガジェット的な話は大好きです。また期待しています(^^)

sugiosugio2006/12/27 14:36いえいえわざわざお返事ありがとうございます。
なるほど、1.0以降ならしっくりくるというのは私も近い感覚かもしれません。まあその頃までWWWでありつづけるかは苦しい感じですけども……

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