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2006-03-02

Web2.0時代の巨大類語辞典誕生?「はてなWordLink」(Hotwired風)

はてなWordLink

Web2.0の特色とされる「不特定多数」のユーザー活用した新機軸の辞書サービスが生まれた。発表後1週間あまりで登録された語彙は4万語以上で、ウェブ百科事典Wikipediaや、よりくだけた現代用語事典的な面を持つはてなダイアリーキーワードと比較しても格段の数字だ。と言っても、それはこの「はてなWordLink」が「連想辞書」だからなのだが。

かつて「シソーラス(類語辞書・分類語彙辞典)」と言えば、作家ライターといった職業人のモノというイメージだったが、サーチエンジンソーシャルタギングの普及により「検索語のナビゲーション」という形でその存在は私たちにも身近になってきそうだ。それだけでなく、「はてなWordLink」は言葉の連想を通じたユニークな交流も提示している。はたしてこれはWeb2.0時代の類語辞典の先駆けとなるのだろうか? 少々先走りを承知でまとめてみたい。

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はてな社は2月21日はてな実験サービスを提供する「はてラボ」を発表した。そこで発表される実験サービスは50%以下の完成度であり保存データも保証しないとされるものだが、新しもの好きのはてなユーザーを刺激しておおむね好感触を得ているようだ。その中で、特にわけが分からないのが「はてなWordLink」だった。

筆者は初めてその単語がタグクラウド風に羅列されたページを見たとき、1分でそこを立ち去った。なんだか分からなかったからだ。ログインしていると上部メニューの「wordLink」から、自分用のページに移動できることも気がつかなかった。そもそも「wordlink」の指す実体が分からないし、「ソーシャル連想辞書サービス」という紹介も謎だ。そして「つのだ☆ひろ」を含むユーザーが誰であろうと、私には関係のないことだ。

しかしその後、暫定的なユーザー作成ヘルプとなっているはてなブックマーク - はてなWordLinkを読み、一通りの作業だけはしてみるつもりで戻ってみたところ、見事はまってしまったのだ! 3日間、自由時間のほとんどを費やしてしまった。今では反省している。

おそるべき時間泥棒

中毒性の高さは数多く言及されている。

いくらか分析的な声もあった。

  • このおもしろさは、変で新しいおもしろさのように思います。カオス的、無秩序的、無目的非生産的ヲタク的。朝焼けの中のスズメはチュンと鳴く
  • 粘土みたいな感じだ。粘土そのものは単なるものだけれど、造形していくうちに別のものになっていってスッゲーみたいな感じ。自分だけでそれを触っているわけではないので、他人の作ったのと自分の作ったのが混ざって更にスッゲーみたいなそんな感じだ。矢絣浴衣 2.0 - はてなWordLink

連想語は体を表す

たしかにWordLinkに夢中になった後に自分のWordLinkページを見てみると、それが自分の発想や、興味のありかを如実に表していることに気がついて驚く。連想語は自分自身の一端を映しとる鏡のようだ。

ブロガーの似非原氏は断片部 - これにて終了 - はてなWordlinkとは何かで、はてなWordlinkの基本要素をユーザーa{キーワード1{キーワードa,b,c...n}}というレイヤーと表現している。

これはユーザーを中心に見ると「あるキーワードと別のキーワードを関連づけた人格」というものがコンテンツということになる。それが全体のキーワードページに出ることで、積極的なメッセージにもなりうるのだ。

  • オモチロかったのが、「自殺」という単語に対して「生きろ」「それより僕と踊りませんか?」という言葉リンクされていて、おもわずぷぷっ! 職場でやるには不意打ちに備えないとです。たまにオモチロイこと書いてるシトがいるんだよねー。知らないシトだけど、好感持てます。カエルニッキ - むやみやたらに楽しい

本来的には「同じ言葉にたどり着く」常連さんを見つけてのゆるやかな(オタク的な?)交流の場となりそうだが、連想でオチをつけて楽しませるようなコミュニケーションも生まれている。

言葉の関連性がコンテンツ

ユーザーa{キーワード1{キーワードa,b,c...n}}言葉を中心に考えれば、あるキーワードと別のキーワードをあるユーザーが関連づける、その関係性がコンテンツになりえる*ということだ。とmutronix氏 - テキスト履歴の関連づけ方でいろいろ思索してる人 - は言うかもしれない。

類語辞典」はその集積だが、はてなはすでにはてなダイアリーキーワード連想語APIによって、技術者向けに連想語データを利用するアプリケーションを公開している。検索サイトQooqleで採用され、検索語を入力すると(Javascript利用時)まず機能するGoogle Suggestの他に、検索語がはてなダイアリーキーワードの場合「>>」をクリックすると連想語が表示される。これははてなWordLinkリリース前からある機能で、人力で入力された連想語データではないようだ。

このような検索語のナビゲーションは、その分野に詳しくない調べものの際にとても重宝する。例えば「アンガールズ」と入力するだけで「2月8日 広島 1976年 プロレス サントリー 社長 DVD ワタナベエンターテインメント バルサン 都市機構 コント 山根良顕 5月27日 ライオン ネタ 大学 お笑いブーム 広島県出身 2004年 ポーズ ジャンガ 笑いの金メダル UNO 宇宙 ファンタジー 武藤敬司 コンピュータ 資生堂 ASIN: リスト ノロイ 田中 お笑いホープ大賞 広島大学 2005年 ポスト スタイル 全日本プロレス UR賃貸住宅 映画 プログレ 変拍子 サルゲッチュ3 持ちネタ CM リスト::お笑い関連 バブルマン 田中卓志 エンターテイメント 山根 お笑いコンビ」といった具合。情報ノイズもあるが、通り一遍のプロフィールでは得られないようなキーワードを一気に「手がかり」にできる。

そして「検索サイトが解析する関連語」と「WordLinkの人力の連想語」には、どうやら違いがあるようだ。WordLinkの"ソ連"で得られる連想語は、Qooqleで得られる「ソ連」「ソヴィエト社会主義共和国連邦」のGoogle Suggestはてな連想語APIの結果よりも、人間的な「ソ連」に対する多様なイメージを感じさせてくれる。これは関連語のデータベースとしてはてなWordLinkが新しい価値を持っていることを示しているだろう。

情報の精度はどうだろうか? Web2.0的な不特定多数の知識の活用なので、辞書目的にそった「真面目な」入力だけを期待できるわけではない。しかしユーザーが無目的に入力を繰り返しながら、自然に関連性の強い連想語以外は目立たなくなるような機能が実装されれば、情報の精度は上がっていくだろう。Wikipediaのような運営努力は必要ないかもしれない。今は関連辞書として役立つだけの情報入力が先決だが、コミュニケーションの質と辞書的価値を同時に高めることは今後の機能次第で不可能ではないと思える。

という評もある。「ブレーンストーミングの訓練」になり、「ブレーンストーミングの頼り」にもなるかもしれない。もし沈んだ会話を転換したいとき、はてなWordLinkが使えれば「ちなみに……」は簡単だ。

さらなる期待

はてなユーザーの提案も活発だ。さらに最近タグサービスの増加でシソーラス展開を求める向きもあり、日本語タグの厄介ごとである「同義語」のまとめ表示が待たれている。

同義語・狭義語・関連語を提供する日本語の類語検索サービスは(株)言語工学研究所シソーラス(類語)検索が有名だが、ユーザー参加で生きたシソーラスが構築され、二次利用可能となればその価値は高く応用範囲は広い。

もっとも実現は簡単ではないだろうし、現状の「新機軸の関連語辞書」という機能をしていくだけでも問題はあるだろう。例えば、宣伝目的などの「スパム連想」の混入はありうる。また桂歌丸…ハゲはおそらく許されるだろうが、他の有名人も同じ連想を許すとは限らない。

そう、このようなサービスに必要なユーザーの獲得と維持も課題だ。

しかしこのサービスには画期的な価値があり、すでに人力による連想語入力を「ソーシャル」性の導入で動機づけると言う素晴らしい発想がある。今後も制作者のwanpark氏は難しい舵取りと困難を強いられるだろうが、その重圧を乗り越えて充実したサービスを提供してくれることを心から願っている。

[ id:sugio ]


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