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2005-08-28集合知の無駄づかい(はてなアイデア考察)

長文になりました……。最初に要旨だけ。

今のシステム長所もあるけれど、市場導入後は却下リスクがさらに高まり、アイデアの実現性偏重が強まっている。システムが単純な人気投票を嫌うこともあり、要望の一般性(望むユーザーの多さ)の検証能力が弱い。却下リスクが高まるほどユーザーは「はてなの事情」ばかり考えるようになり、集合知の無駄づかいになっていると考える。

現状の「時価評価額」は「=パワーユーザーの一押し」だけど、それはそれで株式と離れて「パワーユーザーの一押し」を読み取るもっと単純なシステムがあれば良いと思う。株式市場である必要は無い。

スタッフアイデアミーティングにかけるアイデアを決める際に、「時価評価額」とは別の指標を持ったほうが良い。アイデアミーティングの議題にする優先度」を決めるためだけに、ユーザーに目隠し投票をさせたらいい。リスク無しで。

評価額100倍までに変わって

元々、はてなアイデアの市場システムは、いわゆる予測市場じゃありません。それが良いか悪いかはひとまず置いておいて。

『実はユーザーには見えていないが、影で優れた予測能力が働いている』というようなことも、まあおそらくないでしょう。8/4ミーティングで「評価額5000のアイデアだらけ」の状態が問題となりまして、「最近30分間に行われた取引の総ポイント数 / 総株式数」という算出方法*が試されたものの売買が少ないために横並びになってしまい、すぐに元の方式に変更*1。その後価格上限を5.00ptから100.00ptへ変更*という応急処置がなされています。これが、いわゆる集合知が働きにくい方向への変更であることは、スタッフがよくご存知でしょう。

市場としての問題、例えば儲けを狙う場合、買う価値のあるアイデアはほとんど*ないという配当問題や、様々な予測市場としての不具合*も挙げられていますが、ここでは「集合知でない」というポイントに絞っていきます。

現在の方式は最後の最後のところで「個人の強い推し」が、はてなアイデアミーティングにかけられるかどうかに強く影響します。予測市場の予測結果であるはずの評価額が、大目的である結果(実装と配当)に結びつくリーチ確率を左右するため、予測値が予測値でなくなってしまうのです。

「強い推し」は「破格の高値で買い注文を出す」だけで良いのでだれでもできるのですが、ほとんど常連ユーザーが占めています。価格上限が5ptから100ptへ変更した後はこの傾向がさらに顕著になりました。今までよりハイリスクになったので相場の高いギャンブルのように、しばらくすると渡りきれる人と渡りきれない人がハッキリ分かれてくると思います。(ざわ・・・ざわ・・・)

ちなみにつり上がった評価額を下げて取引をする動機はユーザー側にほとんどありません。だいたい上がりっぱなし。

現状は「ゆるやかな実力者会議

アイデアミーティングにかけられるアイデアは必ずしも評価額順とは限らず、「最近の実装に対する反応」や「高額アイデアの周辺アイデア」などが低額のままとりあげられることもあります。株購入した「ユーザー数が多い」という基準も、ときどき使われます(わりとポピュラーな問題がとりあげられて良いかんじなのですが、ポピュラーな問題でもユーザー数が増えないまま1000株に達してしまうアイデアもあるわけで、現システムではあまり公平な基準と言えません)。

しかし価格上限が5ptから100ptへ変更となった8/18日以降はほとんど高評価額のアイデアがそのままミーティングにかけられました。そしてその8割型は時価総額ランキング上位のユーザーによる買い付けです。

検討中
http://i.hatena.ne.jp/idea/./511310 @30.00 crowdeer > frain
http://i.hatena.ne.jp/idea/./479110 @20.00 sanbo-n > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./456420 @5.00 tamagonokimi > hiyoko3
http://i.hatena.ne.jp/idea/./308910 @10.00 tea_cup > frain
http://i.hatena.ne.jp/idea/./248710 @5.00 reply > garyo
http://i.hatena.ne.jp/idea/./944(高額でない)10 @1.10 faerie > kawabe
http://i.hatena.ne.jp/idea/./533510 @7.00 hoiku > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./530210 @6.00 qwhr > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./488810 @20.00 adramine > yukatti
http://i.hatena.ne.jp/idea/./460910 @20.00 adramine > crowdeer
http://i.hatena.ne.jp/idea/./2848(高額でない)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./3039(高額でない)30 @2.00 uguisyu > mutronix
http://i.hatena.ne.jp/idea/./256620 @5.00 kawabe > vicden
http://i.hatena.ne.jp/idea/./32310 @10.00 piroku > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./4873(高額でない)
実装済
http://i.hatena.ne.jp/idea/./509110 @20.00 disable > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./251410 @5.00 kawabe > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./2477(高額でない)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./5283(高額でない)50 @1.12 mhrs > kawabe
http://i.hatena.ne.jp/idea/./5424(高額でない)(ミーティングなし……文字修正)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./5139(高額でない)(ミーティングなし……文字修正)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./4867(高額でない)10 @2.00 a6m5 > sanbo-n
http://i.hatena.ne.jp/idea/./4868(高額でない)20 @1.00 a6m5 > kawabe
http://i.hatena.ne.jp/idea/./493410 @20.00 crowdeer > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./525010 @3.90 okeydokey > woods
他の方法
http://i.hatena.ne.jp/idea/./145410 @20.00 adramine > coxcomb
http://i.hatena.ne.jp/idea/./5093(高額でない)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./534410 @6.00 qwhr > akimasa2000
却下
http://i.hatena.ne.jp/idea/./514010 @5.00 kawabe > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./3325(高額でない)
http://i.hatena.ne.jp/idea/./488310 @20.00 kawabe > adramine
http://i.hatena.ne.jp/idea/./4017(高額でない)

adramineさんが大量に株を持つアイデアをぐっと吊り上げて、実装後の配当で利益を出すという戦法を用いられていて目立ちますが、このままのシステムが続けば、ある程度一般的な手法となるでしょう(はてなアイデア価格上げ計算表がお役立ち)。これはミーティング却下される率が高いとすぐ破産してしまうので、はてな結論をかなりの率で予測できるパワーユーザーだけが頻繁に取りうる作戦でもあります。

村社会のようで見栄えは悪いかも知れませんが、この「はてなのことをよく知ってる人」の発言権が自然に強まるシステムも、なかなかの長所があるのですぐに破綻したりはしないでしょう。

長所1:人気投票とパワーユーザーの判断力の合体

まず最初の1000株購入の段階があるので、それが集合知的な情報となってパワーユーザーの判断力を補強します。

例えば、「面白そうだけど実現するかわからないようなアイデア」は、少ない額でたくさんのユーザーが購入していきます。「実現性の高そうなアイデア」は、おなじみの常連が100pt単位で買っていきます。だれも買わないアイデアは何かすべっています。

そのような手応えで補強された上で、パワーユーザーはプッシュをかけられるのです。

長所2:当然対処すべき要望

はてなが当然やるべきと目されるような、対処しないと怒るユーザーがいるような“準不具合”的な要望がカッチリ上がってきます。

長所3:わかりにくい案でも通る

(私が提案するような)ちょっとわかりにくいシステムでも強く推すか、パワーユーザーが賛同してくれればリーチに持っていきやすいという利点があります。

アイデアページに類似・関連アイデアを表示させたい。とか、「はてなアイデア」でも「はてなブックマーク」のように「タグ」を設定できると便利かも。情報分類がしやすくなるかも?といった、見えにくくヘビーユーザー寄りのシステムは、素朴な人気投票ではなかなかリーチしないでしょう。

長所4:実現性の高いアイデアが検討される

今後のミーティングでは、却下されるアイデアが減るでしょう。

はてなの視点に立つ」現システムでの集合知の無駄づかい

というわけで現状のシステム長所があるのですが、これのために「株式市場」まではいらないかもしれません。「ベット」と「交換」と「配当」で説明できるゲームです。

はてなアイデア予測市場だからユーザーがはてなの視点に立つ*と言う面がありますが、ある程度は株式システムの導入以前から実現できていたと思います。「却下されるとベットしたアイデアポイントを失う」という画期的なゲーム性によって。

たしかに株式市場システムの導入後は「評価額吊り上げ」の要素が出て来たために投資額が増え、却下時のリスクがより高まったために、さらに「はてなの視点に立つ」という効果が現れています。

でも『タダでフォトライフの容量増やして』のような要望は、はてなアイデアではもともと無視できるほど数が少なかったわけで、却下リスクの増大はむしろ弊害を多く生んでいると感じます。

一般性の軽視

ひとつはユーザーが「ユーザーが強く多く望む要望」ではなく、とにかく「アイデアミーティングで通りそうなアイデア」に投資する、というバイアスです。はてなが本質的に不得意なのは「要望の一般性の見定め」ですから、そこはミーティングで一番ごまかしが効く所です。

「今までの機能を組み合わせたいかにもありそうな新機能」なら投資対象になりますが、「需要が多そうではてなにも作れそうだけど、本当の本当にできるかは確信が持てない新機能」では投資にはならず、思い入れの強い個人が吊り上げることになります(すると集合知ではない)。

本来はてなが苦手とする「要望の一般性」を教えてくれるはずのユーザーに、それを軽視させるバイアスがかかっているわけですから、これはガス抜きかさじ加減が必要です。

はてなの事情を考えるムダ

そしてはてなのほうがよっぽど得意な「はてなの事情」を予想します。上に挙げた20の「吊り上げアイデア」のうち、却下は2つ。実に9割、はてなの反応を読み切っているわけですが、ここまでになるには相当精通していないと無理だと思います。そして、それはそんなに素晴らしいことでしょうか?

どんな議題でも柔軟に対応できる「ミーティング」をわざわざ開いているわけです。9割の議案が通過するミーティングが良いミーティングなのでしょうか。

それが自分らしいと思ったネタを握る寿司屋がいて、ときどき客が本当にそれを食べたいのか疑っている。客はその寿司屋が次に握るネタを当てようとする。*。なにか不合理な作業ではないでしょうか。客の思考が無駄です。

リスクを負わない無責任意見の収集提案

アイデアポイントというリスクにより重要度を量れるシステムは、それはそれでとても良いと思います。

けれどそればかりを突き詰めるのではなくて、ユーザーがリスクを負わない意見を同時に集めておけば、本音がもっとスムーズに浮かび上がると考えます。

アイデア登録時は実現性を考えて絞り込みたいので、なんらかのリスクポイント)がらみで良いでしょう。

「どのアイデアから検討または実装して欲しいか」という順序づけの段階で、無責任に目隠し投票するシステムを提案します。例えば1ユーザーにつき10個、優先希望アイデアを指定しておける、実装されたりもっと優先したいものが出たら変えられるという具合。

はてな側ではどの要望の優先希望が多いかという情報は伏せておいてOK。優先希望は多いけどベットは伸びないというケースでは取り上げなくてもいいし、他の指標(パワーユーザーの一押しとか)とどうからめるかも秘密で良し。これでその要望の一般性を量る材料になるでしょう。

というわけでここまでお読みくださった方ありがとうございます。アイデア登録しました。

はてなアイデア - ミーティングの議題として優先してほしいアイデアを、各ユーザーが一定数(ひとり10個とか)指定しておく仕組み。株の評価額以外の指標として、はてなに用いてもらう。

まとめ

*1(追記)この仕様になったという経緯は私の勘違いかもしれません。http://beta.g.hatena.ne.jp/yukatti/20050830でご指摘頂きました。

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